便秘
便秘は怖い
改めて解説するまでも無いように、皆さん、なんとなく症状は理解できると思います。
「排泄物が大腸内に溜まり、何らかの不調によって正常な排泄が行われない状態」ですが、「正常な排泄」は個人差があり、明確な便秘の定義は難しいかもしれません。一応日本内科学会では「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」とされていますが、毎日排便がある状態が正常と考えた方が賢明かと思います。便が体内にとどまるということは、腸内で悪玉菌が増加し、発がん物質や発がん促進物質、活性酸素などの有害物質が大量に発生し腸内の有害物質が腸壁から体内に吸収され、血液として全身にまわり、様々な問題を引き起こします。
大腸がんの大きな原因の一つが便秘だと言われています。
また、近年腸内細菌の乱れが便秘などの原因として大きく注目されています。当院では腸内フローラ(細菌叢)検査が可能です。ご自身の便から腸内環境を分析し、その結果に合わせた個別の生活上のご指導が可能です。詳しくはこちらをご参照ください。
便秘は万病の元
頭痛、肩こり、倦怠感、ニキビ、肌荒れ、冷え症、むくみ、肥満、口臭、がん。
近年多くの体調不良に便秘が関係していることがわかってきました。
その仕組みを大きく二つに分けると以下のような形になります。
腸内でぜん動運動が減っていく基礎代謝が落ちる血行不良が起きる 病気への遠因になっていく
腸内で悪玉菌が増殖する血液を通して体内に悪いものが運ばれていく さまざまな臓器へ悪影響が出始める
市販便秘薬について
便秘にお悩みになる女性の多くが、医師受診前にまず、市販の便秘解消薬を服用されるようです。市販薬で便意が催され、便通が改善することも多くあります。しかしこれらの市販薬を長い期間服用し続けると、体が薬に慣れてしまい「薬がなくては排便されない状態」になってしまうことがあります。そうすると以下に記載した便秘の原因が改善されないままですので、「便秘は改善しているように見えるが、体調不良がひどくなる」とこともあり得るようです。市販薬だけに頼るのではなく、医師の的確なアドバイスを受けて便秘の根本的な原因の改善を図るようにしてください。
高齢者や産後の女性の便秘
消化器官(胃、小腸、大腸など)の機能低下が原因で便秘になるもののなかで、高齢者や産後の女性に多いのが大腸のぜん動運動が弱くなったり、筋力の低下で、便を押し出すことができなくなる弛緩性便秘というものです。
ストレスによる便秘
心理的ストレス等により、自律神経が乱れ、腸のぜん動運動が強くなりすぎてしまったために、起こる便秘です。下痢と便秘を交互に繰り返しておこる場合があります。痙攣性便秘と呼ばれることがあります。
若い女性に多い便秘
便意をがまんする癖のあることでおこる便秘で直腸性便秘というものがあります。便が直腸に到着しても、脳からは「がまん、がまん」という信号を無意識に出してしまい便意が体に正常に伝わらないために起こる便秘です。
器質性便秘
腸の腫瘍、閉塞、炎症などにより腸の通りが悪くなるためにおこるものや腸の長さや大きさの異常によっておこるものを器質性便秘と言います。このような症状の場合は、下剤や浣腸を使用できないこともありますので、医師に相談してから使用してください。